2016年04月04日

はじめに

 精神分析の世界に『臨床日記』を記した分析家フェレンツィがいます。フェレンツィ(1873.7−1933.5)はそれを58歳の時に書きはじめ約9ヶ月間書き続けました(1932.1.7−1932.10.2)。亡くなったのは翌年の5月でした。精神分析を人間の心の探求と考えているフロイトと違ってフェレンツィは精神分析の主に治療的側面に関心が高く、日記の内容は症例研究に絞られています。
 私も彼に倣って『臨床ダイアリー』を書いてみようというのがその主な動機です。朝8時から夜の8時まで臨床に没頭した40代から50代前半。その後、体力の衰えと同時に、私の臨床活動は朝8時から夕方6時で終わるようになりました。しかし、この間患者さんから学んだ事柄の多くは私の心の片隅に何層にもわたって沈殿し続けてきました。
ところが、この堆積したままの経験が還暦を過ぎたころから急に膨張しはじめ「早く外に出たい」と声を大にするようになったのです。それを抑えきれなくなったので臨床ダイアリーを書こうと思ったわけです。その発表の場は学会・研究会の方が、批判を受けてそれに対して反論するという形をとるだけに独りよがりにならず、良いに決まっています。何も川谷医院のホームページでやらなくてもいいのではないか思いますが、敢えてこの場を選んだのはそれなりに理由があります。一つは、学会発表は骨が折れるかなり体力を消耗する作業であるからです。そして精神科および心療内科を受診される患者さんにとって、たとえネットや書物などで専門的な情報を知りえても、それが自分の病気の治療にどのように役に立つかを判断するのにはなかなか難しいのではないかと思うからです。その判断の一つになればと思い立って本ホームページに臨床ダイアリーを追加することにしたのです。どんな内容になるかは計画していません。只々書き続けていきたいと思っています。それでは2016年4月3日の今日から始めようと思います。

川谷大治
posted by Dr川谷 at 13:17| Comment(0) | 日記
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